英語学習において品詞はとても重要です。特に、読み書きする上では品詞を意識することは必須となります。
「細かいことは気にしていられない」という生徒もいるようですが、英語力向上のために「気にしなくていい細かいこと」と「気にしなければいけない細かいこと」があって、品詞を意識することは後者なのです。
まずは品詞における基本ルールのうち、今回は次のことを押さえてください。
①前に前置詞のついていない名詞は必ず文の要素(S・O・C)のいずれかになる。
②副詞は文の要素(S・O・C)にならない。
英文を書く際に品詞が大切なこと言うまでもありませんが、文法問題においても、読解においても品詞は重要なのです。
一例を東大の文法問題で確認してみましょう。
「次の英文(1)~(5)には、文法上あるいは文脈上、取り除かなければならない語が一語ずつある。解答用紙の所定欄に該当する語を記せ。」
(1)If you were asked to fall backward into the arms of a stranger, would you have trust the other person to catch you?
※以下省略
(2009年 東大)
まずはif節内です。ask O to不~「Oに~するよう頼む」の受動態で、「Oは~するよう頼まれる」です。
backwardは形容詞「後ろの」か副詞「後ろに」で、ここでは副詞として使われています。いずれにしてもOにはなれませんからfallの後ろにOがなくfallは自動詞用法「倒れる」です。
和訳は、「もし知らない人の腕の中に後ろ向きに倒れるよう頼まれたら」となり、問題はありません。
では、主節です。
would you have trust the other person to catch you?
youがSで、haveがVになります。ここまでは問題がなさそうです。
ではtrustという単語の品詞はわかりますか?
答えは、①名詞(信頼)、②動詞(~を信頼する)です。
①名詞とした場合、haveの後ろですからOになります。そうすると次のthe other peopleの説明がつかなくなってしまいます。
would you(S) have(V) trust(O) the other person(???) to catch you?
では、②動詞と考えてみましょう。haveの後ろに動詞の原形を置くことができませんからこのままではいけません。(時制的には正しくありませんが、過去分詞のtrustedならば、would+ have+過去分詞で仮定法過去完了になり、the other peopleがwould have trustedのOとなります。)
ということで、haveかtrustを取り除き、the other personをそのOとします。意味から考えて、haveを取り除くと、
would you trust the other person to catch you?「相手があなたを受け止めてくれると信じられますか。」という仮定法の正しい英文になります。
今回はtrustに名詞だけでなく、動詞としての用法があるという知識が必要となるのです。
他に生徒が品詞を理解していない例として、each other等があります。each otherは副詞ではなく代名詞です。よって、Lucy talked himではなく、Lucy talked with himが正しい英文であるのと同様に、They talked each otherではなく、They talked with each otherが正しい英文となるのです。
今回紹介したものは品詞に関するほんの一例です。英語学習において、品詞を避けることはできません。これからは辞書を引いたら品詞も確認していくことを忘れずに。